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RAIN

第4章 再会《翔side》

改めて駿平が俺へとまっすぐに向き合う。

「お互いさ、後悔だけはしないようにしようぜ」
駿平の激励がストレートにぶつけてくる。
「お前が惚れたぐらいだ。その娘、きっといい娘だよ。もしかしたらお前にはもったいないかもしれない。……ま、振られたらちょっとは慰めてやるよ」
いつもの、悪戯っぽい駿平の笑みに、俺は改めて駿平が親友でよかったと感謝する。

冷たく凍りかけた心が音をたてて、底からマグマのように熱い何かが湧き上がる。




諦めることなんかできない。諦められないからいつまでも尾を引いている。あの人を忘れるなんてできはしない。
今も会いたくて仕方ない。こんなにもあの人を求めている。
そうだ、俺は諦められない。この想いは俺の真実で、俺の総てなんだ。

そこに行き着けば、俺が今取る行動は決まっている。


「駿平、悪い! 先に帰ってくれ!」
今まで重かった足が自然とある場所へと向かっていた。
「あ、おい!!」
駆け出した俺に驚き、駿平が呼び止める。
「行ってくる!」
それだけを告げると、俺はもう駿平に振り返ることもせず、ひたすら目的地へと足を速めた。
背後から駿平の声が飛んでくることはなかった。





****

ハァハァーッ。窒息してしまうのではないかと思うぐらい、全速力で疾走した。
公園の入り口。今朝も向かった場所。

ここに到着すると緊張感が増大してくる。鼓動が早くなり、脈拍はきっと不安定。
俺は深く深呼吸すると、覚悟を決めて公園内に入る。

一歩進めるごとに逃げ出したい感覚になる。


嗚呼、神様……。
こんな時だけ普段は全然信じてないのに神頼み。

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