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RAIN

第4章 再会《翔side》

横で駿平がチラチラと見る。何か言いたいけど言うタイミングがないといったところか。案外こいつは無頓着なようで他人の意思を尊重する。

「なあ……、何かあったのか?」
遠慮しながら口にする駿平に、俺は横目で見やるだけに留まる。
「はぁーっ……、シカトですか。お前はいつも自分で溜め込んで俺たちに何も相談しない。昔からそうだったよな」
無視を決め込んでる俺の態度に、さすがの駿平も苦言をこぼさずにいられなかったようだ。
「美紀が一番心配してたぜ。お前の様子がおかしいって俺に言ってきて、しかも相談に乗ってやってくれとな」

美紀は昔からお節介な性分だった。誰かが苦しんでいたり、悲しんでいると心配してすぐにお節介をかけたがる。
だからあいつの周りには人が集まる。


こいつらが心底俺を心配してくれてるのはわかる。だから煙たがられてもこうして付き合うんだろう。どんなに邪険にしても懲りずに、俺に手を差し伸べようとする二人に口にだしはしないが、心の底では感謝している。
だけど悪いが、俺の今の苦悩をこいつに話したところでどうにもならない。また理解すらしてもらえない。
駿平たちにとって、いや世間からすれば俺の苦悩はあってはならないものだろうから。
だから言わない。思いを吐き出すつもりはない。

ずっと無言を貫く俺をしばらく傍観していた駿平だったが、何か感じるものがあったのか、少しの間を置いてから予想もしてなかった科白を口に乗せた。

「お前まさか……、好きな奴が出来たとか?」
その突然の内容に、俺ははじめて反応し、足を止めてしまった。

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