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RAIN

第4章 再会《翔side》

足取りは気のせいか軽く、俺は公園に向かった。公園に近づけば近づくほど心臓が大きく打ち続ける。

公園内に入り、目的地であるベンチに目を向ければそこは無人になっていた。


……いない。
一気に絶望にも似た感情が押し寄せてくる。
周囲を見渡しても俺以外誰もいない。頭から冷水を被せられたように冷たい孤独へと追いやられた。
……期待? 何を期待していた?
あの人が俺に会ってくれること? あの人がわざわざ俺に会うために、またここで待ってくれること?

そんな都合のいいこと、どうして俺は当たり前のように期待していたんだろう? どうしてここに足を運んでしまったんだろう?



居たたまれない。絶望に打ちひしがれ、俺は重い足をなんとか動かしていく。

早起きしてここに来なければよかった。そうすればこんな挫折感を味わうことはなかったのに……。
あの人が昨日会ったばかりの、しかも会話だってほとんどなく、ただ繋がりがあるとすれば俺が渡した黒い傘だけ。傘を返してくれなんて頼んでないんだから、あの人がわざわざ赤の他人である俺に会ってくれるなんてあまりにも低い確率だ。

どんよりとした曇り空を見上げる。
なぜか無性に腹が立ってくる。まるで雨がこうなることがわかって降らなかったんじゃないか。俺の失意を嘲笑うために、雨は降ることを避けたのではないか。

憎き曇り空を睨みつけ、ギリリと下唇を噛む。

「くそったれ……」
俺の悪意を上空へと放たれた。

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