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異種間恋愛

第20章 契約の内容

「リア、いる?」
 扉からストラスの声が聞こえてきて私は目をこすりながら起き上った。
「ストラ、どうしたの?」
「どうしたの、って……。もしかして、今まで寝てたの? ラドゥ王子に頼まれた仕事全て終わったから報告に来たんだけど、寝てらっしゃるみたいだね」
 ストラスは部屋に足を踏み入れることなく、奥にあるベッドを眺めて言った。
 ラドゥの左肩の痣のことについて話すか少し迷った。
「……聞いたみたいだね。痣のことを」
 私は一度頷いた。
「悪魔に体を食われてしまう、と? ああ、やっぱりそうなんだね」
「どういうこと?」
 大きく息を吐き出したストラスに私は首を傾げた。
「そのことは薄々気づいていたよ。でも、実際に何かが起こるまで誰にも分からないことだよ。随分昔の契約だからね、誰も覚えている者もいなければあの時代に生きている人も残っていない」
「じゃあ……」
 ストラスは首を横に振った。
「ラドゥの状態をずっと見てきた医者も言っていた。原因の分からない発熱が続いているみたいだ。痣のこともあるし、変な期待はしないほうがいいよ」
 口を閉じて床を睨みつけた。
 ストラスは私の肩に手をのせると自分のほうへ引き寄せた。
「優しい子は好きだけど、あまり王子にばかりかまっていると僕だって悲しくなっちゃうな」
「んっ……」
 ストラスは屈んで私の耳に口を寄せて、わざとゆっくり囁いた。
 思わず背中に甘い痺れが走って、声が漏れる。
「それにリアは王子に酷いこと……されたらしいじゃないか。それは本当?」
「え。う、ううん。何もされて……ないわ」
 痺れて思うように動かない口をパクパクさせるとストラスがふっと笑って体が離れた。
「庇う理由が知りたいな」
 ストラスは寂しそうな顔をして首を傾げてた。私は少し考えてから口を開く。
「……ストラはラドゥのこと嫌い?」
「ふん。そうだね、嫌いではないよ。リアに何かしたと知っても嫌いにはなれなかった。だってね……」
「だって?」
「ラドゥ王子はリアを部屋に閉じ込めてから、調べてたんだよ」
 調べてた?
 私はここ最近なぜ、ラドゥが忙しそうにしているのか全然知らなかったし、そもそも仕事なんてどんなことかも具体的には何も知らない。
「何を?」

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