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異種間恋愛

第20章 契約の内容

 ラドゥの頭を私の太ももにのせて、ラドゥが眠りにつくまで何度も。
「そして二人は一生幸せに暮らしましたとさ」
 そこで終わったこの絵本は典型的なラブストーリーで、ラドゥがこんな絵本を持っていたことが驚きだったし、なによりもそれを私に読んでくれと頼んだのが謎だ。
 反応がないと思いラドゥを見やれば、安らかな寝顔が覗いた。
 口を時折ぱくぱくと動かしている。どんな夢を見ているのだろうか。
「ラドゥ……?」
 よく見ればラドゥの目尻から一筋の涙が伝っていた。
 王子は実は泣き虫なのかもしれない。
 私はそっとその滴を指でなぞって消す。
「置いてかないで……おかあ、さん」
 細い声で紡がれた言葉に私は息をするのも忘れてラドゥの寝息が再び一定の間隔で流れるまで動くことができなかった。
 置いてかないで、お母さん?
 ラドゥに何があったのだろう。悲しい過去があったのかもしれない。
 切ない過去に見えない未来。
 そんな彼の人生に一体何の意味があるのだろうか。神様は何を期待して彼をこんな環境に置いたのだろう。
 そっと撫でたラドゥの頬はひんやりとしていて私は胸を撫で下ろした。

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