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異種間恋愛

第14章 導かれた青年

「黒髪で黒い瞳の小さな少女、ご覧になりませんでしたか?」
 ビビアンがそう尋ねると周りの男たちは自ら彼女に寄って行き、話を聞こうとする。この女は結構使えるかもしれないと考える汚い僕をリアが知ったらどう思うだろう。
 ああ、またリア、リア、リアだ。
 リアに早く会いたくて気が狂いそう。こんなに長い間顔を見れなかったことなんて今までなかったし、こんな時が来ると思っていなかっただけに僕は失った宝石を取り戻そうと躍起になっていると自分でも分かっている。
「んー。見てねえなあ」
「小さい町だから、見かけない顔があればすぐに気付くはずさ」
 近寄ってきた10数名の男たちは皆首を横に振った。
 やっぱり、リアはここには来ていない。中途半端なことをする子ではない。やる時はとことんやるのがリアだ。
 あんな小さな体で時として驚くようなことをやってのける彼女を尊敬するものも妬むものもいるけれど、僕はどちらでもなかった。ただ、危なっかしいリアを守ってやろうと心配しながらも見守っているつもりだった。
「来ていないみたいですわね」
 ビビアンは肩を落として残念そうな声を出している。その本性が分かってしまうのが辛い。
「そうだね。やっぱりリアはラーナにいるはずだよ」
「……ラーナまで行くおつもりですか?」
 僕は頷いた。行かないわけがない。
 どうか、ラーナにはいていてほしい。あんな危険な所にいるのはとてつもなく心配ではあるけれど、森の中で迷っているよりはよっぽどいい。

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