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異種間恋愛

第14章 導かれた青年

 調子がいいと言い切ってベッドから抜け出たものの頭は金槌で叩かれ続けられているように痛む。頭と首に巻かれた真っ白な包帯を隠すためにリトルが気を遣って用意してくれていた黒いフード付きの上着を身に着けている。
 あまり顔を見られたくない僕にとってこのフードはすごく有難かった。
 朝早くに馬に跨り村を出た。今は昼間で隣町にやっと着いたけれど、後ろにいる女にさすがにいらだち始めた。
「いつまでそうやっているつもり?」
「……ストラス様」
「君は何がしたいのかな」
 村を出たときからずっと付いてきていた女は僕と目が合うと顔を赤く染めて手で口を覆った。
 そんな仕草が僕をより苛立たせる。もし、これがリアだったなら……と思わずにはいられない。どうしても、リアのことしか考えられない。誰といてもつい気を抜くとリアと呟いてしまう。
「ストラス様が心配で、つい」
「僕のことは心配してもらわなくていいよ。僕が心配しているのはリアなんだ。邪魔をするつもりならさっさと帰ってほしいな」
 黒いフードが上半分の視界を遮っていて女の表情はあまりよく見れないが、女が息を呑む音は聞こえた。
「私もその……リア様が心配で」
「そう。なら、協力してくれるね?」
「……はい」
 フードを少しずらして女の反応を見た。苦々しい表情を隠そうともせず頷く女の整った顔は醜く歪んでいた。

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