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いつもそこには、君がいて

第3章 3 金曜日


 そんな空間にひとり身を置いて自分の売場を眺めると、今日作るべき売場展開と作業工程がおのずと見えてきて、頭の中で一日のスケジュールもほぼ決まる。



 ――まだ、やれる。


 今日、私はこれを確かめたかった。


 昨日までのここ数日間の私は迷いだらけの状態で、仕事の最中も自分のことで頭がいっぱいだったのだ。

 異動の内示
 精肉への愛着
 マネージャーとしての不安
 自分に対する諦め
 
 そして、福田さんからの告白。

 自分の体に巻き付いた“今”という悩みのつるに、自分の“これから”と、福田さんの気持ちという2本のつるまで絡まって、どうしたらいいのかわからず身動きがとれないでいた。

 不安の海に溺れそうになっていながら、ワラさえつかめずにいた私。


 そんな私をすくいあげてくれたのは、昨夜入った三上さんからの電話だった。



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