
いつもそこには、君がいて
第2章 2 水曜日
「どれだけ食うヤツだと思ってるんですかね。こう見えてそこまで食う方じゃないんだけどなぁ」
「その体ですもん、おばちゃんの気持ちもわかりますよ、ふふふ」
脈絡もなにもない福田さんのおかしな話に、私はいつの間にか鼻をすすりながら相槌をいれていた。
「……あ、ようやく笑ってくれた」
「え?」
福田さんの方を見上げると、白い息とともにいつもの笑顔がそこにはあった。
寒さで鼻の頭が少し赤かったけれど。
「やっぱり峰さんは、笑ってる方が似合いますね」
「そうですか……ね」
なんだかとても照れくさくて、涙と寒さのせいで出た鼻水をポケットティッシュで思い切りかんでしまった。
「ははは。それができれば、もういつもの峰さんです」
「へ?」
いつもの私?
「今なら、菊川さんにも言い返せそうでしょ?」
「あ、うん。やっつけてやれそうな気がします」
なんだか不思議……
さっきまでのモヤモヤが嘘みたいに、胸の辺りがスーッとする。
気持ちいい。
