
いつもそこには、君がいて
第2章 2 水曜日
「……でさ、今度の休み、合コンすんだけど、福田さんも行かない?」
一服から戻ってきた菊川くんの、相も変わらぬあっけらかんとした声に、どうしようもなくイラッときた。
「合コンですか? 俺はそういうの、パスです」
「え〜、なんで?」
気分の切替がうまいのはひとつの長所かもしれないけど、今の私はそう前向きに思えないほど、気持ちがひねくれているっぽい。
まったく笑えないでいるのだ。
「なんでって……」
「あ、彼女いんの?」
「いや、そうじゃないけど」
――バタン!
閉じようとしたファイルに、予想以上に自分の気持ちが伝わってしまったようで、物凄い音を立ててしまった。
「うわっ……フジコさん、なんか怒ってます?」
「別に」
言葉とは裏腹に、自分でも訳がわからないモヤモヤが胃袋のあたりに渦巻きはじめていた。
「別にって、ほら、怒ってるじゃないですか。ねえ、福田くん」
「いや、菊川さん、あの……」
一昨日の私を知っている福田さんは私を気遣いながら、菊川くんに返事をしている。
またしても福田さんを巻き込んでいるようで申し訳ない気もしたけれど、このにわかに沸き立った気持ちはどうにも収拾がつけられない。
