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ブルースカイ

第10章 恵(中)

「それなら納得やわ。この不器用人間め。」



「アハハ、ある意味、フミも不器用やけどな。」



「アハハ、フミさん、ナンパ、不器用やし。」



「ええい、黙れ、黙れ。少しは黙っとけ。」



俺は時計を見る。



「あかん。フミ、そろそろ行くで。マサ、明日、電話するわ。」



フミとバイト先に行き、バイトが始まり、いつも通り8時くらいに、恵が律子と一緒にやって来た。



週末なので、他の持ち場は忙しそうだったが、9時くらいには俺は比較的暇だったが、秘密のまかないの当番だった。



秘密のまかないとは、山さんの目をかすめながら、全員のつまみ食い用の食べ物を作る事だった。



基本的に週1くらいで順番で回ってくる。作るまで上がらせてくれなかった。



山さんの目をかすめる事自体は楽だった。というのも、基本的に事務所にいるか、店から出ているかのどっちかだからだ。



焼き場にはあまりネタがないため、冷凍焼き鳥の豚バラにパン粉をつけて、揚げ場で揚げさせる。暴挙やけど、言うほどまずくないやろ。

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