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ブルースカイ

第8章 恵(上)

少し落ち着くと、服を着替え、夜の街を1人さ迷う。







向かう場所さえ見つからずに、ただ目的もなく徘徊する。







気付いたら、山の手の学校の近く。俺はまだ電気の付くサークル棟に向かう。







サークル棟の屋上に上がり、三ノ宮方向を見ると、神戸の夜の明かりが、優しく俺を包んでくれた。







代表的な神戸の夜景と違い、人の営みの民家の光。ここから見える夜景は、そんな夜景。大して綺麗ではないが、震災を乗り越え、強く生きる人々の希望の光。俺にはそんな風に見えた。







俺はそんな神戸の街が好きだった。フミにしても、マサにしても、コウや、明美にしても、震災の辛さはあったはずで、それを感じさせずに前向きに生きている。

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