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第26章 case10 【私ハ貴方ノ手ヲ握ッテ】 3

「火事場?」

何を言っているのかさっぱり解らないけれど、カナメはそれ以上何も教えてはくれなかった。

「もう、咲楽斎はもたない。とどめは刺さないでやるよ。見届けさせてはもらうけどな」

そう言って、少し離れた場所で立ったまま壁に寄り掛かる。

「もたないってどういう事!?」

「お別れを言ってやれ」

「・・・お別・・れ・・・・って」

お別れって何よ!!って思う。けれど、意味は解っていた。お別れ、離別、・・・最期。

「嫌だ!!」

意味が解っても受け入れられるかは別の話だ。

「あのな・・・」

「助けてよ!!」

理不尽な事を言っているのは、解っている。ただ、解っていても納得できない以上は納得出来る筈が・・・・・・。

「・・・あやの」

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