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第26章 case10 【私ハ貴方ノ手ヲ握ッテ】 3

叫び声の後、首輪まりに圧迫感がない事に、気付いて目を開ける。

首を締めようと動いていた躯は、私の傍で力を無くしだらりと倒れ、いつの間にか意思のないガラス玉も瞼の奥に隠れていた。

躯の後ろにいた斎に目線をずらすと・・・。

「・・・・・・ぇ?」

傷がたくさんあっても、致命傷は無さそうに見え、私にニッコリ笑う余裕さえあった斎は、

私が躯に襲われる前と後では様子が一変していた。

満身創痍で、刀を杖の様に差し、荒い息を・・・。

何が、どうなって?

慌てて駆け寄る。

「い、いつきッ」

抱き締めると、立っていられないのかよろめいて倒れた。思わず抱き締める。と同時にカランッと刀が乾いた音を響かせる。

「斎、どうして、何がおこって・・・」

狼狽える私に、近付いてきたのは、いつの間にか刀を背負っているカナメ。しゃがんで私に目線を合わせる。

「藤沢絢乃、お前って一応一族の血は引いてるからな・・・。命の危険が迫ったから『火事場の馬鹿力』みたいなのが出た・・・のかもな」

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