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第3章 case2 【貴方ガ欲シイ】 1

逃れようと身を捩ると体勢が崩れ、ポスンッと倒れた上半身。必然的に離れた唇を瞬時に暗闇の中、見えるかの様に正確に追って来て、

「・・んっっ」

再び合わさると、さっきよりも抵抗感が減ってる事を自覚。

それはショックでもあり、視覚が遮断されているせいなのか、はっきりいってキモチイイ感覚でもあり、

向きを変えて何度もキスが落とされる。舌が入るほど濃厚でもないのに・・・。

コクンっ

口の中にたまった水分を、飲み込む。静かな部屋で嚥下する音が思ったよりも響いた・・・気がする。

・・・って姿の見えない相手誰でも良いってわけ?という節操なしだったのかって勝手にショックを受けたりして。

暗いからかあれこれ思考がめぐって脳内は忙しい反面、身体の方は動きが鈍くなる。

いつしか頬に添えられる手。冷た過ぎない気持ちいい程度のひんやりさで、

見えない頬の火照りを溶かすよう・・・。

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