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第3章 case2 【貴方ガ欲シイ】 1

「・・・え?」

身体を起こすと同時に、何が起こったか理解出来ないでいた。

部屋は真っ暗。遮光カーテンのお蔭か、窓から漏れる筈の光は一切届かず、

何もかもを遮断された漆黒の闇が、支配していた。

びっくりしたまま固まっていると、柔らかい感触が当たる。

・・・声が出ない。

放心したまま声も出さず動かないでいると、唇に触れている動かないそれ、が、

ゆっくりと意思を持って動き始め・・・そこで気づいた。

「は、離しッンッ」

身を捩って一瞬漏れた抗議は、即座に何も言えなくなる。何か拘束されている訳でも無いのに、身体が動かせない。

ヤメテッ!!と逃げ出したい気持ちだけの筈なのに、私の中の何かが、邪魔をする。

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