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第16章 case7 【貴方ニ引キ摺ラレル】 1

喉の奥で笑う男。何故か嫌味が無い。

「で、用は?用が無いとお前は来ない」

「人を暫しの間、匿ってもらえると有り難い」

「お前込みで?」

「勿論」

「対価は?」

「何時も通り。引き払うまでに支払うさ」

・・・初めて見た気がする。素の斎と対等な感じで話す相手。

何となく、興味がわく。

「絢乃」

呼ぶと同時に、私に絡めていた腕の力が強くなる。そして、首筋にチクリと痛み。

「・・・当分面白くなりそうだ。またな、絢乃チャン」

廊下を歩き去る男。結局誰なのか教えてはもらえなかったな・・・なんて、相手の姿が消えるまで見ていた。

「斎、あの人誰?」

本当に聞きたいのは、誰か?というよりは、斎との関係だったのだけど、

何となく口にしたこの問いに、斎は別の反応を示した。

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