テキストサイズ

contract

第3章 case2 【貴方ガ欲シイ】 1

「お前はわたしの意に背きたいらしい」

元の口調に戻った斎が、私と彼女の間に立っている。彼女が私に振り下ろそうとしていた腕を掴んで。

・・・とりあえずホッとする。と同時に、意味がない三角関係に巻き込まれたことに、腹立たしさを覚えた。

「思い出せ、そして答えよ。お前はわたしの何だ?」

「貴方の忠実なるservant、そして・・・っ」
「お前は忠実なるservantではなかったのか?」

彼女の弁明らしき言葉を遮り、斎は感情のこもらない声で彼女を突き刺す。

サーバント。意味は、召使。

腹立たしさより、今この現状をしっかり見る方が先で・・・だって根本的に斎が何者なのか、私には解っていないのだから。

「お前はcontractor、わたしの契約者。同等ではない」

「彼女も?」

悔しそうな顔の彼女。睨むような目つき。斎には懇願する目つき・・・忙しく眼が動く。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ