
山茶花(さざんか)の咲く村~男装美少女の恋~
第9章 生まれ変わる瞬間
「馬鹿だな。俺がそんなことで心変わりするとでも?」
「違うのよ、本当に違うの。県監はまだ私を抱いてはいないわ」
「そうなのか?」
インスが勢い込んで問うのに、凛花はコクコクと幾度も頷いた。
「それにしても、あの野郎、許せない。ぶっ殺してやる。俺の凛花にこんな酷い真似しやがって」
インスが怖い顔で言う。
凛花は笑った。
「冷静なインスには似合わないわ。あいつは私が裁く。多分、それが私の御使として最初で最後の任務になるだろうから」
しまいの科白に、インスが眼を見開いた。
「凛花、お前―」
インスはなおも物言いたげであったけれど、凛花はわざと明るい声を出した。
「私も一つだけお願いがあるの。インスのお義母さんに古い夜着を貸して頂けない?」
「あっ、ああ」
インスは予期せぬ頼みに面食らったように頷き、部屋を出ていった。
一人になった凛花は唇を噛みしめ、淡い闇を睨み据える。
明日こそが勝負なのだと自分自身に言い聞かせた。
「違うのよ、本当に違うの。県監はまだ私を抱いてはいないわ」
「そうなのか?」
インスが勢い込んで問うのに、凛花はコクコクと幾度も頷いた。
「それにしても、あの野郎、許せない。ぶっ殺してやる。俺の凛花にこんな酷い真似しやがって」
インスが怖い顔で言う。
凛花は笑った。
「冷静なインスには似合わないわ。あいつは私が裁く。多分、それが私の御使として最初で最後の任務になるだろうから」
しまいの科白に、インスが眼を見開いた。
「凛花、お前―」
インスはなおも物言いたげであったけれど、凛花はわざと明るい声を出した。
「私も一つだけお願いがあるの。インスのお義母さんに古い夜着を貸して頂けない?」
「あっ、ああ」
インスは予期せぬ頼みに面食らったように頷き、部屋を出ていった。
一人になった凛花は唇を噛みしめ、淡い闇を睨み据える。
明日こそが勝負なのだと自分自身に言い聞かせた。
