
山茶花(さざんか)の咲く村~男装美少女の恋~
第9章 生まれ変わる瞬間
尚凞は凛花がボウとしているのを良いことに、引き寄せた凛花の身体を嫌らしくあちこち触っている。尚凞の手が純白の夜着の上から、豊かな胸のふくらみを包み込んだ。
「―!」
凛花はあまりの事に愕き、眼を見開いた。
凛花が固まっているのを良いことに、尚凞の手は更に遠慮がなくなっている。乳房から腰、尻と執拗な手がまさぐる度に、身体中の膚が総毛立った。
「どうした、震えておるのか?」
尚凞が猫撫で声で言い、顔を覗き込んだ。
凛花は最早、何も応えられる状態ではなかった。ただ、酒臭い息を間近で吹きかけられるのが厭わしく、顔を背けるのが精一杯だ。しかし、尚凞はそのささやかな拒絶も良い方に誤解したらしい。
「まだ恥ずかしいのか?。全く、どこまでねんねなのだな」
尚凞の声が次第に遠くなってゆく。凛花はなけなしの気力を振り絞ろうとしたが、それも限界であった。
身体がふわりと宙に浮いた。尚凞に抱き上げられたのだと判ったけれど、手脚もろくに動かせない有り様だ。抵抗しようもない。
凛花の中で焦りばかりが募ってゆく。当初の計画では、この辺りで逃げ出すつもりだった。裁きを行う際、県監の婦女暴行罪を立証するためには、生き証人が必要だ。要するに、凛花は自らがその証人になるつもりなのだ。
しかし、逃げ出そうにも、身体の自由が一切きかなくなってしまい、すべがない。
やがて、ふかふかの布団に下ろされた。
身体が燃えるように熱い。加えて、手脚に痺れまで感じ始めていた。
刹那、凛花は愕然とした。
―もしや痺れ薬を?
先刻、呑んだ酒の中に痺れ薬が入っていたのではないだろうか。そういえば、と、凛花は今更ながらに思い出していた。
尚凞が呑んでいたのは、凛花に注いだ酒の入っていた銚子とは別の銚子に入った酒だった―。
それにしては妙だ。痺れ薬だけで、こんなに身体が火照るものだろうか? 仮に酒のせいだとしても、この熱さは異様だ。まるで灼熱の焔に身体ごと投げ込まれたかのようだ。
「―熱い」
凛花はうわ言のように呟いた。
「そうか、それは重畳。薬の効果が出てきた頃合いだな」
凛花は重たくなってくる瞼をようよう開け、尚凞を熱で潤んだ瞳で見上げた。
「―!」
凛花はあまりの事に愕き、眼を見開いた。
凛花が固まっているのを良いことに、尚凞の手は更に遠慮がなくなっている。乳房から腰、尻と執拗な手がまさぐる度に、身体中の膚が総毛立った。
「どうした、震えておるのか?」
尚凞が猫撫で声で言い、顔を覗き込んだ。
凛花は最早、何も応えられる状態ではなかった。ただ、酒臭い息を間近で吹きかけられるのが厭わしく、顔を背けるのが精一杯だ。しかし、尚凞はそのささやかな拒絶も良い方に誤解したらしい。
「まだ恥ずかしいのか?。全く、どこまでねんねなのだな」
尚凞の声が次第に遠くなってゆく。凛花はなけなしの気力を振り絞ろうとしたが、それも限界であった。
身体がふわりと宙に浮いた。尚凞に抱き上げられたのだと判ったけれど、手脚もろくに動かせない有り様だ。抵抗しようもない。
凛花の中で焦りばかりが募ってゆく。当初の計画では、この辺りで逃げ出すつもりだった。裁きを行う際、県監の婦女暴行罪を立証するためには、生き証人が必要だ。要するに、凛花は自らがその証人になるつもりなのだ。
しかし、逃げ出そうにも、身体の自由が一切きかなくなってしまい、すべがない。
やがて、ふかふかの布団に下ろされた。
身体が燃えるように熱い。加えて、手脚に痺れまで感じ始めていた。
刹那、凛花は愕然とした。
―もしや痺れ薬を?
先刻、呑んだ酒の中に痺れ薬が入っていたのではないだろうか。そういえば、と、凛花は今更ながらに思い出していた。
尚凞が呑んでいたのは、凛花に注いだ酒の入っていた銚子とは別の銚子に入った酒だった―。
それにしては妙だ。痺れ薬だけで、こんなに身体が火照るものだろうか? 仮に酒のせいだとしても、この熱さは異様だ。まるで灼熱の焔に身体ごと投げ込まれたかのようだ。
「―熱い」
凛花はうわ言のように呟いた。
「そうか、それは重畳。薬の効果が出てきた頃合いだな」
凛花は重たくなってくる瞼をようよう開け、尚凞を熱で潤んだ瞳で見上げた。
