NO VOICE LOVE
第1章 はじまりは、すぐそこに
すると、少し驚いたような顔をした
未夢はまたメモに綴る。
旭は、その姿を見守る。
『どうして喋らないのか
聞かないんですか?』
そう書いたメモを差し出した
未夢の顔は少し悲しそうだった。
「聞かない聞かない。
悲しそうな顔してる子に
そんな野暮な事聞かないって」
旭自身、彼女が喋らない理由が
なんとなしに分かっていた。
「それより、君の名前は?」
『瀬戸 未夢(セト ミユ)』
「じゃあ未夢ちゃん。
もう帰るところなの?」
未夢はこくり、と頷く。
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