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それでも恋するドM娘

第13章 新しい季節は。

富士見の言葉を千紗は何度も思い返していた。


中途半端な優しさは姫野を傷つけるだけ。


確かにそうかもしれない。


動物を可愛がるような感覚で光太君に愛情を向けてはいけないんだ。


そして。


自分も逃げてはいけない。


結果を恐れて動かなければ何も変わりはしない。


自分の気持ちを伝えて朝霧に嫌われるのであればそれまでのことだ。


まだ暑さが収まらない9月の上旬ではあったが、風は確実に秋の気配を感じさせる、そんな夕暮れであった。

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