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Memory of Night 番外編

第3章 熱々、バレンタインデー!


 それ以上、抵抗などできなかった。

 もっと晃を感じたい。

 肉厚の唇も、体温も、舌の熱さも、全部が欲しい。

 宵は身を乗り出すようにして、晃の舌に自分の舌を押し付けた。

 自ら舌を絡めて、晃のキスに必死になって応える。

 宵が積極的になると、晃は今度は柔らかく宵の唇を吸った。

 キスが、激しいものから甘いものへと変わっていく。


「……んん」


 晃は押さえつけていた宵の手首を離し、片方の手を首にまわして支えながら、もう一方の手を宵の胸元に這わせた。

 もちろんキスは止めない。

 コートとブレザーは前を開け放したまま。その下には黒いセーターを着ている。

 晃の右手はセーターを捲り上げ、ワイシャツ越しに宵の体をまさぐっている。

 突起した部分を指先でつつくと、それに合わせて宵の体も揺れた。


「う……ふう……っ」


 下腹が疼く。体の中心が、どうしようもないくらいに熱くなった。


(ダメ……だ)


 宵は最後の理性を振り絞り、自由になった両手で晃の肩を押した。

 唇が離れる。

 密着していた体が離れるのが、酷く名残惜しかった。

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