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Memory of Night 番外編

第3章 熱々、バレンタインデー!


 やっとのことで熱いキスから解放されて、宵が壁に体を寄りかからせたまま晃を睨む。


「クソ……ッ、最悪。こんな食わせ方ってないだろっ」

「旨かった?」

「……味なんてわかんねーよ」


 味を楽しむ余裕なんてなかった。

 息を乱したまま呟いて、くっと顔を背ける。


「それは残念……」


 甘い吐息が耳をくすぶる。

 まだ手首は押さえ込まれたままで、晃の顔がものすごく近くにあるのだ。

 振り向いたら晃の唇に触れてしまいそうで、宵は瞳だけを動かして晃の様子を窺う。


「手、離せよ……っ」

「嫌だ」


 即答。宵が大きく目をみはる。


「ふ……ん」


 晃の舌には、まだ甘いチョコの香りが残っていた。

 再び晃に唇を塞がれ、舌を捉えられる。


「ふぅ……っ」


 晃の舌から逃げようとしても、後ろは壁。身を引けない。

 晃はさらに強く自分の唇を押しつけ、口腔に激しく責めいろうとする。

 何度も角度を変えながら、容赦なく舌をねじ込んできた。

 チョコの混じった唾液は粘着があり、いつもよりもいやらしい音を辺りに響かせている。

 宵の背中が、ぞくりと震えた。

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