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Memory of Night 番外編

第3章 熱々、バレンタインデー!


「ん……」


 口の中に冷たい何かが流れ込こんできて、宵は薄く目を開けた。

 自分の口を晃の唇が塞いでいる。

 突然のその状況にも驚いたけれど、口に含まされている液体にさらに驚いた。

 おそらくは水。晃は口移しで自分に水を飲ませてくれたらしい。

 宵がごくんと喉を鳴らしてそれを飲み込むと、ようやく晃は唇を離し、宵のそばからわずかに頭を離した。


「大丈夫?」


 その問いかけに、つかの間ハテナマークが浮かぶ。

 どうやら自分は晃のベッドに横たわっているらしい。背中から伝わる柔らかいシーツの感触と、目に映る景色でわかる。

 浴室であのまま意識を手放してしまっていたのだろう。

 まだ少し気分が悪かった。軽い耳鳴りもする。


「……ちょっとやりすぎだったとは思う」

「……それ、いつも言ってるセリフ」


 宵はゆっくりと上体を起こした。この体に残る倦怠感も、もう毎度のことのように味わっている気がする。

 灯りが消えたままの薄暗い部屋で、晃は隣に腰を下ろして宵の顔を覗きこんでいた。

 二人とも服は着ていない。

 一糸纏わぬ姿のままで、太もも辺りにシーツをかけているだけ。

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