
リーニエント
第8章 ペチュニア
肌を突き刺すような強い日差しが続くこの季節。
まだカレンダーは7月に変わったばかりだ。
学校帰りのデートで訪れた自然公園。
木漏れ日が落ちるベンチに座ると、生暖かい。
小型扇風機を開襟シャツの襟元を弛めた首へ当てながら、少し遠くで噴射されるミストを眺めた。
「これ以上暑くなるとか、信じられないんだけど……」
「そうだねえ。じゃあ、手離す?」
「え!やあだっ……あ、ちが、じゃなくて……っ」
繋いでいる手を少し持ち上げて、顔を覗き込むように腰を屈める。
驚いて首を竦めると、見つめてくる彼の目尻が垂れ下がった。
「慌てちゃって……かわいーねえ」
どうしてこの人はこの暑い中でも涼しげなんだろう。
彼女─あすかは彼の周りだけが涼風でも吹いているように感じて、仕方がなかった。
「もーう!からかわないでっ」
彼の肩口を軽くグーパン。
肩口に攻撃を受けつつごめんと笑うと、繋いでいる手の甲で彼女の頬を撫で上げた。
重なる手の中でじわりと汗が滲む。きゅっと奥歯を噛み締めたあすかは顔を上げる。
「あ、うん。でも手、離そっか」
「……どうして?」
「だって手汗がね……恥ずかしっっ痛、はつくん?」

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