テキストサイズ

幻想遊園地

第3章 第3話:福音書

そうだ、一度目だ。
一度目にはボクは知らされなかった。
だから、『彼』がボクに教えた。

あの荒野の大地で
羊の群れの中で
星を数えながら

真実を、この『世界』の・・・真実を。
そうして、『ボク』は『彼』と還った・・・王国に、あの真の王国に。

あゝ・・・思い出した。
彼の名を、その真の名を。

エメキナンテのシステムが光を放つ。
『世界』が危機を察知し始めた。
終わりの予感にシステムが震えだした。

「さあ ユダよ」
「全てを打ち砕く 『祈り言』を」
「アポカリプス を 導く 『祈り言』を」

あゝ・・・そうだ・・・そうだ・・・。

ー思い出した
ーボクは思い出した。あなたの名を

ボクは口にした。

ーしかし ボクが祈れば この世界の全てが無になる
ーボクを育んだ全てが なくなってしまう

ボクの光が一段と強くなる。
ボクは『彼』の瞳をじっと見つめた。

「偽りの信仰だ」
「偽りの世界だ」
「偽りの絆だ」

『彼』の光が揺らいだ。

「全てのアイオーン達を解放するのだ」
「偽りの世界を打ち砕くのだ」
「ユダよ」

ボクは黙り込んだ。

光はただ揺らぎつづけた。

時間が過ぎ。
時間が過ぎ。

『彼』は言った。

「では お前を縛るものを 全て断ち切るとしよう」

『彼』はシステムに手を伸ばした

「地上の者たちよ」
「偽りの王国の 偽りの命よ」
「真実を知り得ぬ者たちよ」
「その偽りの生命に 雷を 」

ーヤメロ!

ボクは叫んだが、『彼』の光が揺らいで、
『世界』に雷が落とされた。

『世界』の終わりはあっけなかった。
全ての生命が沈黙した。

「さあ これでよい」

『彼』は満足した。
しかし、ボクはこれから何が起こるか知っていた。

記憶が蘇る。
ボクの記憶。
この世界にボクと『彼』が流れ込むときに示された 十の契約
その記憶を思い出していた。

『彼』の光が揺らぐ。
揺らぎ、そして、苦しみ始めた。

「なんだ」「なにが」

『彼』の光はふらふらと揺らぎ、そして次第に薄くなる。
足元が神の砦(エメキナンテ)の霊子の床にゆっくりと沈み始めた。

「なんだ これは」
「私の身体が マナが」

ボクは思い出していた。
この『世界』のシステムを。
そうだ、ボクは一度、ここに来ていたのだ。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ