幻想遊園地
第2章 第2話:天使の絵
☆☆☆
【天使】
夜、星屑のさらさらと降り落ちる綺麗な時間のこと。
「白キ者ヨ、汝ノ名ハ⋯」
「天の使い、ですわ」
天使は倒れた彼の脇に降り立ち、ふっと翼を休めた。
彼の目には、今まで同胞の、同族の累々たる屍を目の当たりにしてきた彼の目には、その姿は、清浄に映った。
天使は近くの倒木に腰を下ろすと、彼のその目を見て、言った。
「あなたが最後よ、種としての一番最後」
彼を頭をすこしもたげた。
「我レガ、最後ノ者カ⋯、目ニ映ルハ、見知ラヌ草木ト、同胞ノ骸ノミ、我ガ種ノ栄華モ、ココニ果ツルカ⋯」
天使は少し微笑んだ。
「もう、十分ではありません?山が崩れて砂になってしまう程の時間(とき)を
いいえ、それ以上を、あなた方一族は生きてきたのですから。」
彼も、少し笑った。黒い、その水晶のような瞳が、コロリと動いた。
「ソウカ、モウ、ソンナニモ長イ時ヲ経テ在リ続ケタノカ⋯」
天使は彼に歩み寄り、その皮膚に手を触れた。
その皮膚は、硬質で、冷たく、水に漱がれた岩のようだった。
微かに命の温かさを伝える皮膚は彼の呼吸に合わせてゆったりと波打った。
「もう十分でなくて?」
天使は、彼の体をそっと撫でた。
「オヌシラモ、勝手ナ。創造シ、ソシテ、滅ボ⋯スカ⋯。我レラハ、何故ニ、滅ブノカ⋯」
天使は彼が責めるような目で自分を見ていないことに感謝した。
確かに、自分達は、彼らを創り出し、そしてその滅びを止めることをしなかった。
責められる理由はないが、責めるなとも、言えない。
しかし、彼は、責めているのではなかった。
少なくとも、今は。
天使は、ゆっくりとした声で、彼の問いに答えた。
「運命、と言ったら、満足なさる?」
彼はすうっと目をひらいた。口許は微かに笑みを浮かべているように見える。
「簡単ニ言ッテクレルナ⋯」
「あなた方一族は、この星に選ばれなかった。かつて、どれほど栄華を極めようとも、この星の他の生き物との共存の輪から外れていってしまったのよ。
別に、あなた方自体は、悪くないのだけれども⋯。」
「ソレガ運命カ?」
「ええ」
「ソウカ⋯。」
【天使】
夜、星屑のさらさらと降り落ちる綺麗な時間のこと。
「白キ者ヨ、汝ノ名ハ⋯」
「天の使い、ですわ」
天使は倒れた彼の脇に降り立ち、ふっと翼を休めた。
彼の目には、今まで同胞の、同族の累々たる屍を目の当たりにしてきた彼の目には、その姿は、清浄に映った。
天使は近くの倒木に腰を下ろすと、彼のその目を見て、言った。
「あなたが最後よ、種としての一番最後」
彼を頭をすこしもたげた。
「我レガ、最後ノ者カ⋯、目ニ映ルハ、見知ラヌ草木ト、同胞ノ骸ノミ、我ガ種ノ栄華モ、ココニ果ツルカ⋯」
天使は少し微笑んだ。
「もう、十分ではありません?山が崩れて砂になってしまう程の時間(とき)を
いいえ、それ以上を、あなた方一族は生きてきたのですから。」
彼も、少し笑った。黒い、その水晶のような瞳が、コロリと動いた。
「ソウカ、モウ、ソンナニモ長イ時ヲ経テ在リ続ケタノカ⋯」
天使は彼に歩み寄り、その皮膚に手を触れた。
その皮膚は、硬質で、冷たく、水に漱がれた岩のようだった。
微かに命の温かさを伝える皮膚は彼の呼吸に合わせてゆったりと波打った。
「もう十分でなくて?」
天使は、彼の体をそっと撫でた。
「オヌシラモ、勝手ナ。創造シ、ソシテ、滅ボ⋯スカ⋯。我レラハ、何故ニ、滅ブノカ⋯」
天使は彼が責めるような目で自分を見ていないことに感謝した。
確かに、自分達は、彼らを創り出し、そしてその滅びを止めることをしなかった。
責められる理由はないが、責めるなとも、言えない。
しかし、彼は、責めているのではなかった。
少なくとも、今は。
天使は、ゆっくりとした声で、彼の問いに答えた。
「運命、と言ったら、満足なさる?」
彼はすうっと目をひらいた。口許は微かに笑みを浮かべているように見える。
「簡単ニ言ッテクレルナ⋯」
「あなた方一族は、この星に選ばれなかった。かつて、どれほど栄華を極めようとも、この星の他の生き物との共存の輪から外れていってしまったのよ。
別に、あなた方自体は、悪くないのだけれども⋯。」
「ソレガ運命カ?」
「ええ」
「ソウカ⋯。」
作品トップ
目次
作者トップ
レビューを見る
ファンになる
本棚へ入れる
拍手する
友達に教える