
その執事、死神を飼う【黒執事/セバス/R18】
第1章 その執事、ネコを拾う。
ザアァァァァ───。
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──
夜も深くなり、屋敷全体に夜の帳が差し込んでいた。
この屋敷の主であるシエル・ファントムハイヴは既に眠りにつき、執事であるセバスチャンは主の部屋から自身の部屋へと帰る途中だった。
豪奢な廊下を照らすのはロウソクの灯りのみ。
窓を打ち付ける雨の音は激しく、嵐のような夜だった。
「···、?」
ゆらっとロウソクの炎が揺れ、セバスチャンは足を止めて窓から外を覗いた。
「おや、これはこれは···」
──まったく、非常識なお客様にも困った物です。
セバスチャンは深い笑みを浮かべると、ロウソクの火を消して屋敷の外へと足を向けた。
「こんな嵐の夜に死神ですか、人騒がせな···いや、そうですねぇ」
黒い傘から零れる雫が死神の頬にポタリと垂れたが、起きる気配は毛頭ない。
よくよく見てみれば小柄で、長い髪は芝生の地面に散らばり頬にも数本の束がへばりついている。
死神、ミラベルの黒い服は雨水を吸いぐしょぐしょに濡れて、地元にへばりついているようで。
──これは、···ずぶ濡れの黒猫···。
セバスチャンはずぶ濡れの死神の姿を見て、黒猫を連想し始めると妄想が止まらない。
「これはすぐにでも、···"淑女"を放置したとなれば主人にもどやされますからね。ここは"一旦保護"して差し上げましょう」
セバスチャンは意識の無い死神を横抱きにすれば、屋敷の中へと。
「さて、悪く思わないでくださいね。そのままでは風邪をひいてしまいます···いや、死神は風邪などひきませんか。しかし、その格好では気持ちが悪いでしょう」
ミラベルの濡れた黒服から、セバスチャンの燕尾服へと水が吸い寄せられて行く。
「脱がせますが、悪く思わないでくださいね」
ベッドの上にシーツを敷いて、ミラベルを寝かせた。
襟元のリボンを解き、ワンピースを脱がせていく。
次にブラウス、コルセットを外せばレースで出来た白地の胸当てと下着にはガーターベルトが白いまろやかな曲線を描いた太ももに装着されていた。
───黒猫も良いですが、白猫も···やはり黒···。
肝心な肌触りはどうなんでしょうね?
