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スイーツ・スイーツ

第4章 断ち切れるものならば

ある三年生の日記……

【××月××日。

今日の3時限目と4時限目の間のこと。

移動教室のために、2階の廊下を歩いていたら、階段ですごい音がした。誰かが落ちた音だ。

駆け上がると、踊り場に人が倒れていた。
あ、知ってる。図書室でよく見る、二年生の学年トップの子だ。

「どうしたの? 大丈夫?」

「大丈夫……です」

そうは見えなかったが、なんとか自分で立ち上がって……すぐ崩れ落ちた。

あんまり、ぐだぐだ書いても仕方ないな。

散らばった教科書とかノートを拾い集めて、肩を貸して保健室へ連れていった。

“捻挫だけだと思う”と先生は言ったけど、とりあえず自分の車で病院に運ぶことに決めたみたい。

当の本人は自分で歩けるなんて言ってたけど、
無理するなと、先輩として、私も言った。

自分の授業には遅れたけど、事情が事情だから、おとがめなし。当然よね。
それどころか、次の実力テストで5点プラスしてくれるって。

情けは人のためならず。

――
でも、あの娘、「ドジって、足を踏み外した」と言ってたけど……。
そんなことあるかなぁ。

ほんとは、誰かに突き落とされたとか?

まさか、ねぇ……。

でも……。】

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