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HEAVEN~時を超えて~

第8章 記憶の彼方の契り

『カイキ…あとちょっとだけ…ダメかな』



徐々に迫る引っ越しに
真はすっかり見慣れたと言うように庭を眺め
名残惜しそうに景色を眺める



『ふふ、現実的じゃないのわかってる

けど、、こんな所で伸び伸び育ったら

子どもって…幸せかなぁ、って思ったりしちゃって』


真が眠ってる間や、街に出るついでに僕が
少しずつ荷物を運び出したりしていたから
そう慌てずとも良いから僕は…



『クス…いいよ、マコト

予定日まで4週間以上あるし』




『カイキ・・・ありがと』





『いざとなったら、ここで産んで育てたっていいし』



ちょっと真と他愛ない話をする。




『え?』




『自分で言っておいて動揺する?…クスクス』




『だって…それとこれとは…』




『子どもはしょっちゅう熱も出すだろうし

病院も保育園もないし…?
第一こんな所にいたらお友達も出来ない

確かに現実的じゃあないね』



『…』



『でも、産まれるまでなら…マコトが気の済むまでここにいよう』



『ぇ…』




『いざとなったら…ここで』



『な?…』




『やって出来ないことある?
本来、それが自然なことだし』




『ななな…』




『その代わり…マコト頑張るんだよ?』





『なにそれ、、カイキが…とりあげるって意味??』




『病院も医者も、誰も助けてくれない
マコトが本当の自分の力で産むんだよ?』




『な、、そんな…』



『クスクス…』



からかうつもりなんて毛頭ないけれど
真に受けてキョロキョロする真が可愛くて
つい僕はイタズラ心が出てしまっていた




『逆に、貴方の出来ない事は何?
って感じの人だとは…思ってたけどさ…』



『大丈夫…〃太古〃から…

百年前でも…千年前でも…人間の生まれ方は同じ』



『ぇ』



『だから…そんなに恐がることないよ、って意味』




『…じ…自分が産むわけじゃないからって』



『ふふ…』


僕は膨れる真の頬と頭を撫でる


『う、産んだことあるっていうの?…ブツブツ』



『ある、って言ったら問題でしょ…クスクス』



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