テキストサイズ

愛されてると勘違いだったので、推し活をやめようと思います

第7章 【選択1】

彼は大きいため息をつくと、オレンジ頭をワシャワシャ掻きむしった。



「ちっ……しょうがねぇな、案内してやるよ」

「本当?」

「ただし報酬はもらう。さっきの財布の中にあった残り全部な」

「!」



(見られてたんだ……)



私は渋々、残りの一万円札を差し出した。
現金はこれだけしか持ってない。



「そうだ、あんたマイクロチップ埋め込んでんだろ? まずはそれを取り出さないとな」

「取り出す!? 待って、これがないと生活できないわ!」

「知らないのか? それGPSついてるぞ」

「えっ……」

「残念ながら、あんたがいる位置はバレバレだ」

「そんなっ……」



血の気が引く。
叔父さんからマイクロチップの説明を受けた時、そんなこと教えてくれなかった。
また叔父さんに対して不信感が募る。



「これ……どうやって取り出すの?」

「手術できる奴がいる。医師免許はないけど、安心しろ、腕はいいから」

「報酬がいるのよね……?」

「わかってるじゃん。そこのコンビニでおろせばいいよ、100万な」

「ひゃくまん……!?」



少年はニヤニヤしている。
私がそれくらいの大金を持っているとわかって言っているのだ。



ストーリーメニュー

TOPTOPへ