
愛されてると勘違いだったので、推し活をやめようと思います
第7章 【選択1】
「おい、坊主、待ちやがれ! 嬢ちゃんは、本当にお前のねーちゃんなのか!?」
軍人が追いかけてきたので、とっさに私が「生き別れた弟なんです!」と叫んだら、納得したのかそれ以上は追いかけて来なかった。
S地区に入ると、また風景は変わった。
大きな壁の向こうには背の高いビルのネオンが輝いているが、壁からこっち側は古びた木造の家が建ち並んでいた。街灯は少なく、狭い路地の奥は真っ暗だ。それでも人の気配はする。
「よし、この辺でいいだろ」
少年は周りを確認すると、やっと手を放してくれた。そして「何かちょうだい」と言わんばかりに片手を差し出す。
「え?」
「え?じゃないでしょ。助けてやったんだから、金くれよ」
「!」
なんて露骨な……と思ったが、この少年がいなければ未だに足止めくらっていたかもしれない。最悪、連れ戻されていたかもしれない。
「ごめんなさい、今これだけしか……」
私はリュックから財布を取り出すと、二千円を手渡した。それを見て少年は不服そうな顔をする。
「助けてくれてありがとう。ねえ、なんでも屋ってどこにあるか知ってる?」
私がそう聞くと、二千円をズボンのポケットに入れていた少年の手がピタリと止まった。
軍人が追いかけてきたので、とっさに私が「生き別れた弟なんです!」と叫んだら、納得したのかそれ以上は追いかけて来なかった。
S地区に入ると、また風景は変わった。
大きな壁の向こうには背の高いビルのネオンが輝いているが、壁からこっち側は古びた木造の家が建ち並んでいた。街灯は少なく、狭い路地の奥は真っ暗だ。それでも人の気配はする。
「よし、この辺でいいだろ」
少年は周りを確認すると、やっと手を放してくれた。そして「何かちょうだい」と言わんばかりに片手を差し出す。
「え?」
「え?じゃないでしょ。助けてやったんだから、金くれよ」
「!」
なんて露骨な……と思ったが、この少年がいなければ未だに足止めくらっていたかもしれない。最悪、連れ戻されていたかもしれない。
「ごめんなさい、今これだけしか……」
私はリュックから財布を取り出すと、二千円を手渡した。それを見て少年は不服そうな顔をする。
「助けてくれてありがとう。ねえ、なんでも屋ってどこにあるか知ってる?」
私がそう聞くと、二千円をズボンのポケットに入れていた少年の手がピタリと止まった。
