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愛されてると勘違いだったので、推し活をやめようと思います

第7章 【選択1】

私は爆レッドのことを思い出した。
何度も助けにきてくれた爆レッド。まさかそのたびに彼の命が削られていたなんて……。



「……」



でも彼とはもう会えない。
花梨の話では他の女性と付き合ってるみたいだし、もう私には伝えることすらもできない……。



「ところで嬢ちゃん、S地区にはどんな用で来たんだ? まさか家出じゃないだろうな? 知ってると思うが、この先はスラム街だ。一人で歩いてたら、襲われちまうぜ?」

「えっ……」



(この軍人、察しがいい。なんとか理由をつけて誤魔化さないと……)



「えっと、私……」



その時、後ろから肩をポンと叩かれた。



「こんな所にいたんだ、探したぜ!」



振り返ると、私と背が同じくらいの知らない少年が立っていた。
彼は幼い顔をしていた。頭はオレンジ色に染めていて、耳にはピアス、肌は日に焼けている。薄汚れたヨレヨレのTシャツとカーゴパンツを履いていて、お世辞にも清潔感のある格好とは言えない。



「なんだ、お前は。この子の知り合いか?」

「そうだよ、俺のねーちゃん!」



そう言って、オレンジ頭の少年は私の手を強引に取って歩き始めた。



「ちょっ……」

「俺に合わせて」



少年にコソッと言われて、私はすぐに察した。



(私を助けてくれるの? どうして?)




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