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愛されてると勘違いだったので、推し活をやめようと思います

第5章 夢

『ユーリア、また彼女を叩いたのか?』

『え?』

『違うの、レナルド様! 私がいけないの! 私がお姉様を怒らせるようなことばかり言うからっ……!』



カレンの瞳からはポロポロと涙が溢れる。
その姿を見て、レナルドは悲しそうな表情をした。



『泣かないでくれ、カレン。君は悪くない。こんなにも姉のために身を引こうとしているのに……ユーリア。君は少しは妹の気持ちも考えたらどうだ?』

『お待ちください、レナルド様! 一体、なにをおっしゃってるのか、私には意味が分かりません……!』



私が困惑しながらそう言うと、レナルドは私をきつく睨んだ。



『ふう、君は本当に人の気持ちがわからないのだな……。もういい。君との婚約は破棄にする!』

『!』

『私の妻にふさわしいのはカレンだ。私はカレンと結婚する』

『……っ……』



言葉が出なかった。
本当に一体何がどうなってるの?



どうしてこんな、中世のヨーロッパみたいな世界にいるの?
もしかしてこれは夢なの?



そして私はまた好きな人を花梨に取られるのね……。



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