無料で楽しめるちょっと大人のケータイ小説

私は自分の部屋で目を覚ました。
いつもの天井だ。



「良かった、夢だったのね……」



(まさか夢の中でさえも花梨に好きな人を奪われるなんて、相当ストレスが溜まってるみたいね……)



私はため息をつくと、ベッドから起き上がった。その時、脇に置いてあった小説の本が床に落ちた。



「愛されてると勘違いだったので、推し活をやめようと思います」



私は本のタイトルを読み上げた。



(そうだったわ。この小説の本、面白いからって花梨が貸してくれたのよね……。でもまだ読んでいなかった)



私は小説の本を適当に開いた。
するとカレン、ユーリア、レナルドと三人の登場人物の名前があった。



カレンとユーリアは伯爵家の娘で、姉のユーリアはレナルド公爵と婚約をしていた。ユーリアはレナルド公爵のことが幼い頃から好きだった。
しかし妹のカレンもレナルド公爵に想いを寄せており、だめだとわかっていながらもレナルド公爵に会いに行っていた。
それを知ったユーリアはカレンを虐める。
そしてユーリアは悪役令嬢となった。



「ユーリアが悪役令嬢？　だからカレンはぶたないでって言っていたのね……」



どうやら小説の物語を夢に見てしまったらしい。



(暴力はいけないことだけど、でも私……ユーリアの気持ちわかるわ……)