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第4章 移動

厨房に行くと宮崎さんが皿洗いをしているところだった。

宮崎さんに、

「倉庫の鍵持っています?」

と聞くと、宮崎さんはちょっと考えるような間を開けてから、

「あ〜、ごめん!私さっき使ったんだ!今、手が離せなくって…。ズボンのポケットに入ってるから悪いんだけど、ポケットから持っていってもらえるかな?」

と言った。僕は高校生なのでパートの皆さんには一応敬語で話しているが、この頃には宮崎さんも、僕には友達のような言葉遣いで話していた。

僕は、宮崎さんの後ろから、宮崎さんのお尻を見た。ズボンはパツンパツンでお尻にフィットしているので、後ろのポケットに入っていないことは分かる。お尻のポケットなら鍵の形が浮き出ているはずだからだ。

前のポケットに違いないがどちらかわからない。僕は、

「どっちですかね?」

と聞くと、宮崎さんは、

「ごめん、私他のこと考えてると無意識にポケットに入れちゃって…。車の鍵も入っているから、どちらか分からないの!」

と言った。僕は、

「分かりました。大丈夫です。」

と言って、その後続けて、

「じゃー、ちょっとすみません。失礼して…。」

と言って、右のポケットから手を入れようと、宮崎さんの後ろに回って右の腰骨というかソケイ部の辺りに右手の指先を当てて、ポケット内に滑り込ませようとするが、ポケットの入口から手がスッと中に入らない。

宮崎さんは決して太っているわけではないが、スボンがパツンパツンなので、下腹部の張りでポケットの入口に隙間がないのだ。

僕は、あまり体に触れてはいけないと思い、少しの間、思い切ってポケットの中に手を入れられないでいた。すると宮崎さんは、

「ごめん!私太ってるからポケットに手が入らないよね!」

と言った。僕は、

「いえ、そんなことないですが…。」

と言うと、宮崎さんは、

「ごめんね、手、無理矢理入れちゃって良いから…。」

と言ってほんの少しお尻を後に下げて、ポケットの空間を作ろうとした。僕は、

「失礼します!」

と言ってもう一度ポケットの入口に手を置いた。
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