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微熱に疼く慕情

第12章 【盲目的な愛が辿る一途】











「ありがとうね、いや〜橘さんにしてもらう為に来たから、会えただけで嬉しい」


「本当ですか?お気に召したようでこちらも嬉しいです」 



男性のお客様も徐々に増えて来ている
お見送りした後、ムスッとした年下の男の子従業員と目が合う



「何か、最近ああいうお客様増えてません?一華さんに会えると思って、此処はキャバクラじゃないっての」


「コラ、橘店長とお呼び、お客様には変わりないよ」


「え、だって手握られて鼻の下伸ばしてましたよ?」


「さぁ、仕事仕事」



業績も右肩上がりで順調そのもの
従業員も増えて、私はヘッドセラピストとして指導も任せてもらっている



「次のお客様は男性の新規です、あぁ、また一華さんに沼っていくんだろうな…」


「橘、店長…ね?」



一緒に働いている美樹ちゃんもチーフとして頑張ってくれている
時々飲みに行って、同じ家に帰る
お互い生活費に余裕が出て来た頃だから
そろそろシェアハウスも解消しようかって話も出てるけど
結局お互い寂しがりやで行動に出れていない



「はぁ〜また勇樹くんの嫉妬祭りですか?」


「ハハハ」



中途採用だったんだけど、かなり気が利くタイプで即戦力になった勇樹くん
歳は7つも下だ
面接に来た時に樹くんくらい離れてるな、と思ったんだったっけ、当時の樹くんだけどね
見た目は真逆、むしろ旺志郎くん寄り
爽やかイケメン、人懐っこい、末っ子タイプ
何かと最初から私に懐いて離れないのよね



「勇樹くん、この前の私と2人での出張も羨ましがってましたよ」


「えぇ?男の子と2人で出張はなぁ…」


「え!それって僕の事、意識してくれてます?」って会話に入って来る勇樹くん
仕事しろ、と追い返した後で、美樹ちゃんがヒソヒソと…







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