
微熱に疼く慕情
第11章 【普遍的な真理】
良い感じに酔ってきた谷川さんの手を引いてBARを後にする
「俺、大丈夫だから、酔ってないから」
「うん、わかってるから」
「え、え、何処行くの?」
握っていた手をパッと離して向き合う
運命の別れ道を選択させる為だ
「帰った方が良いですよ、もう目がトロンとしてるし、酔っ払いの面倒見るなんて嫌なんで」
「酔ってないよ、俺はまだ一緒に居たい」
「タクシー呼びますね」
「待って!」
手首を持たれて危うくスマホを落とすところだった
「まだ橘さんの時間ちょうだい」って見つめてくるから、そっと近付く唇も拒まなかったよ
「良いの?そんな事して……私、遊んじゃいますよ?」
「え、遊ぶ?」
「キスの続き、する?しない?どっちを選びます?」
酔いも覚めた顔
あの程度で潰れてもらっちゃ困る
普通に口説かれるより、こうして始まりたいの
わかるんだよ、あなたはこちら側の人間になれない人
だから最初から振り分けてあげないとダメなの
それでも自分の意思で、自分の足で入って来ちゃったならやむを得ないでしょ?
ほら、雨が降ってきた
濡れちゃいますよ
急いで向かった先
偶然?それとも必然?
今度は私が手を引かれて行く
上着を貸してくれてあまり濡れないように
してくれたけど、それでもゲリラ豪雨には
勝てなかった
びしょびしょになった2人
駆け込んだホテルでタオルを渡され
すぐにシャワーを浴びようとしたけれど
こんな時間に、ホテルで、びしょ濡れで
男女が居合わせたら……
上着を返して目が合ったら
お湯を溜めている音が鳴ってて
早く脱いで暖かいシャワーを浴びなきゃなのに……
こんな良い女が髪を濡らして、
下着透けさせて見つめていたら
理性なんてぶっ壊れちゃうでしょ?
いや、ぶっ壊れなさいよ
先に出を出して、後に引けなくしてあげる
