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そう話す女もきっとこの場に来るまではそれなりの日常を過ごし、生きてきただろうに、それまでの日々をどう過ごしてきていたのか、ある期間の生活の記憶がなくなっていると発言したことに周りが少し驚いた顔をした。
「そうか。モヤや記憶が抜けていると…」
これに関して何か関連がないか考えてみるが、何も思いつかない。
「で、あなたは？何か記憶について変わりはないですか？」
少しの間考えているうちに、尋ねられてきたことで一回考えるのをやめた。
「俺は。記憶を辿ろうとしたら何故か…」
言いながら少し前のことを無意識に思い出そうとしたからか、初めに襲ってきた頭痛が男を悩ます。
「大丈夫ですか？」
頭痛によって頭を抱えていると、心配だと言う顔で覗き込んできたことによって、そこに気が向いたおかげか痛みが引いた。
「大丈夫だ、心配かけた」
あまりにも顔を覗かれたことで、距離が近すぎたせいか、少し照れたように大丈夫と告げた。
「うーーん、それぞれ違ったことが起こってますね」
「確かに、だな」
腕を組みながら空を仰ぐ感じでそう言う男は、何か関係性はないかと考えているようだけれど、思いあたることがないようで困った声を出した。
それに同調する感じで頷く。
「何故私たちはここにいるのでしょう…」
推理ドラマによく出てくる仕草をする女はよほど好きなのか意気揚々とポーズを決める。
それぞれバラバラな雰囲気な集まりが、答えを一致させて脱出への手がかりをつかめられるのか少し心配となった男はとりあえずその場に溶け込もうという気持ちはあった。