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男と背後に立っていた三人の人物は互いに顔合わせが初めてのため、まじまじと見入る形になったが、それは相手に失礼ではないかと思い始めて、それぞれが顔を逸らしはじめて遠くを見やる。
「こんなこと聞いても多分同じ考えだと思うので答えが出ないとは思うんですけど…」
お互いの間に微妙な空気が流れた時に女がどうしても聞いておきたいと言う感じで話を切り出した。
「私たち、なぜにこんな場所にいるんですかね？」
言っていることは最もであっても、初めに言っていた言葉しか返せることができない。
「それは、俺が知りたいよ」
「ですよね」
会話はそこで切れて、さらに微妙な空気になってしまい、誰もが顔をしかめる形となる。
この場にいる人たちを順番に見て回ると何を思っているかは思い当てることはなかなかできないが、この空間から脱出したいという気持ちは同じだとは勝手に男は考えていた。
「しかし、不思議なんですよね。
少し前の記憶を思い出そうとすると、何故か頭にモヤみたいなのが充満した感じになって曖昧どころか少しの記憶ですら掴めなくなるんですよ」
腕組みをしながら、1人の男は記憶はモヤが邪魔をすることで少し前のことでも思い出せないと独り言を口に出した。
「あなたはそうなんですか？
私は違って、同じく思い出すことができないんですが…」
そこで言葉を切る女は考え込む表情になるが、すぐに向き直りあっけらかんとしながら話した。
「頭に何かがかかっているというよりも、ぽっかり記憶が抜けているみたいです。
まるでそこだけ始めから真新しいページだったと言う感じで」