
マッチ売りの少女と死神さん
第2章 12月31日…死神さんに穢されました
その瞬間、サラは驚きのあまり息が止まった。
頭が真っ白になり、何も考えられなくなった。
心臓が激しく脈打ち体が硬直して動かない。
(何これ……? なんで私、キスされてるの?)
やがて口が離れるとホーリーは再び唇を被せ、今度は舌を押し込んできた。
「……っ!」
サラの口内を蹂躙するように舐め回し、唾液を流し込む。
呼吸の仕方を忘れたサラはそれを飲み込むしかなかった。
喉を通る生温かい感触に背筋がこわばる。
「んっ……んうっ……!」
息が苦しくなり、呻き声をあげると、ようやく解放された。
だが息をつく間もなく、今度は首筋に吸い付かれ、今度は悲鳴をあげる羽目になる。
それからしばらくの間、ホーリーは彼女の肌に舌を這わせたり、甘噛みしたりしていたが、そのうちに顔を上げた。
呆然とした様子のサラを見下ろした。
「ふふ、ごちそうさまでしたあ」
満足げに言うと、おもむろに自らの上着のボタンを外し始めたのだった。
「あ……あの、なにを」
慌てて起き上がろうとするサラを押さえつけながら彼が言う。
「だからあ、キミを連れていく前にね。 楽しませてもらうねえ」
「……っ?」
サラは絶句し、ホーリーの顔と、それからはだけていく彼の体を見つめていた。
(この人は何を言ってるんだろう……神様なのに…?…ううん、死神なら…なにかの儀式かしら)
サラは普段街中を歩いているだけあって、一応、性に関する知識は薄らとあるものの、それとホーリーや自分が結び付かない。
思考が追いつかず頭の中がぐるぐる回る。
「え、えーと……」
何か言わなければと思い口を開くが、その先の言葉が出てこない。
