テキストサイズ

マッチ売りの少女と死神さん

第5章 1月2日…だからってXXは無理です


そしてサラはああ、と思い当たった。

ホーリーは……なんというか。

「とにかく私ともっとアレがしたいのだわ」

と、呟いた後でサラはその場でしゃがんで頭を抱え込んだ。 自分もたいがい何を考えているんだろう、そう思ったからだ。
けれども最初の出会いからしてそれしか思い当たらない。

自分を心配してくれた彼を無視したことに罪悪感はある。
加えて、ローラに訊いたことは………きっとホーリーにとってサラに知られたくないことだったかもしれない。

(妙に隠したがったし。 だけど……私も時間がないんだもの)

私は正しいと思うことをして逝きたい。
できれば………敬愛するおばあさんのように。



****

(それでも、これは何かが違う気がするわ………)

サラは宿のバスルームで自分の姿を眺めつつ、長い、とても長いため息をついた。

宿に戻った時、ホーリーは部屋に帰っていなかった。

彼と会って話をしたかったサラは色々考えたが、結局これしか思いつかなかった。
ホーリーを引きつける方法として。

「お風呂に入るのにこれを着るのかしら………」

サラが先ごろのペラペラヒラヒラスケスケの衣服の肩紐をつまむ。 その生地はとても繊細で柔らかなレースで出来ていた。

「まるで雨の日に、朝露に輝く蜘蛛の糸のようだわ」

サラはその優雅で複雑な模様にうっとりと目を細め、またふうと息をつくと、肌着を肩からすとんと下に滑らせた。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ