
マッチ売りの少女と死神さん
第5章 1月2日…だからってXXは無理です
そしてサラはああ、と思い当たった。
ホーリーは……なんというか。
「とにかく私ともっとアレがしたいのだわ」
と、呟いた後でサラはその場でしゃがんで頭を抱え込んだ。 自分もたいがい何を考えているんだろう、そう思ったからだ。
けれども最初の出会いからしてそれしか思い当たらない。
自分を心配してくれた彼を無視したことに罪悪感はある。
加えて、ローラに訊いたことは………きっとホーリーにとってサラに知られたくないことだったかもしれない。
(妙に隠したがったし。 だけど……私も時間がないんだもの)
私は正しいと思うことをして逝きたい。
できれば………敬愛するおばあさんのように。
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(それでも、これは何かが違う気がするわ………)
サラは宿のバスルームで自分の姿を眺めつつ、長い、とても長いため息をついた。
宿に戻った時、ホーリーは部屋に帰っていなかった。
彼と会って話をしたかったサラは色々考えたが、結局これしか思いつかなかった。
ホーリーを引きつける方法として。
「お風呂に入るのにこれを着るのかしら………」
サラが先ごろのペラペラヒラヒラスケスケの衣服の肩紐をつまむ。 その生地はとても繊細で柔らかなレースで出来ていた。
「まるで雨の日に、朝露に輝く蜘蛛の糸のようだわ」
サラはその優雅で複雑な模様にうっとりと目を細め、またふうと息をつくと、肌着を肩からすとんと下に滑らせた。
