
マッチ売りの少女と死神さん
第5章 1月2日…だからってXXは無理です
勝手に内へと入ってくる。
頬を挟んでいた彼の指がサラの唇の間に分け入ってくるので拒むことが出来なかった。
「っ」
すくい上げた舌を吸い、絡めたまま通り過ぎ、彼女の喉近くまで伸びて触れてくる。
すると苦しくてサラの目にまた涙が滲んだ。
「っ…ッ……」
ホーリーを肩をつかんでいた彼女の手から力が抜けていく。
「…ふ…っ……ぅ」
彼は彼女の口内を侵しながら、瞬きもせず刺すようにサラを見つめていた。
その視線が温度を持ったみたいに熱い。
たまらず彼女が目を伏せかけた時、やっとホーリーが濡れた口を離す。
「フン……僕は君への気持ちをたとえ捨てられても踏みつけられても愛してるよ」
解放されたというのに心臓が波打ったみたいに息苦しくて喉がつまる。
「だからそんなことで君が僕に怒る資格なんてない。 分かった?」
……あれはキスなのかしら?
それすらも分からない。
サラの脚がガクガク震える。
体がすくんでそこから動けなかった。
「一人で出掛けたいんなら行けばいい。 近所だしねえ。 ただし二時間経ったら迎えにいくから」
「に、時間…」
短い、さすがに。 そう言おうとしたサラの表情を読んだのかホーリーがイライラした様子でけん制してきた。
「心配だってのが分からないのかなあ? いいね!?」
不機嫌そうにひと言残し、ホーリーが踵を返して部屋を出て行った途端、サラの全身から力が抜けた。
「………な…一体……何なの…? あの人」
ホーリーを心配する自分を否定しておいて……?
言ってることが矛盾だらけだ。
まるでおもいっきりたちの悪い子供じゃないの。
真っ赤な顔をしてその場でへたり込んだサラは、呆然として声も出せずにいた。
