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マッチ売りの少女と死神さん

第5章 1月2日…だからってXXは無理です


長い前髪の隙間から、黒目がちの瞳がサラを眺めまわしていた。
真っすぐなまつ毛が目のふちに影を落とす。
『なにかあったの?』とでも言いたそうな彼の顔。

「…っ大丈夫です!!!」

つい声が大きくなってしまった。
もろもろ耐えられなくなったサラはとうとう彼の手を振り払い、そんな彼女にホーリーが不思議そうな視線をよこす。

「そお?………さっきから何か変だねえ」

沸騰しそうに熱い顔を彼から肘で隠しつつ、威勢よく彼女が尋ねる。

「そのあの、ぼぼ棒っ…淫…とやらの重要性は…じ充分、分かりましたから! そっそれで、私は何をすれば…いいんですか!!」

「叫ばなくってもいいよお。 この異国情緒漂う衣装を着て、これらを試してみて欲しい。 きっとそこに僕のちょっとした不調の原因も隠されていると思うんだよねえ」

「ホーリーさんの体調不良の……!!」

それならばぜひともやらなければならない。
サラは彼に言われるまま差し出しだされたものを受け取った。

「僕は邪魔しないから……まあ? 手伝いがいるなら別だけど。 もちろん君が開放的に楽しめるバスルームで構わないよお」

「は…」

返事をしかけたサラは

(ちょっと待って……? これをすることとホーリーさんの体調がなぜ関係あるのかしら)

はたと思いあたった。
彼の言いぐさからすると、ヒラヒラを着た上にきっと棒状のものでもって………とにかく。
始めにここへ来てホーリーがしていた類いのこと。
あれを自分がするのだろうと想像はつく。

そして肘の隙間から彼を盗み見ると、口元を曲げた指で覆い隠していた。
隠してはいるが見まごうことなきホーリーのこれは、欲望を押し殺している表情である。

「やっ…やっぱり無理!!」

「……ええ? だって今」
「無理ったら無理です! 絶っ対やりませんから!!」

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