
マッチ売りの少女と死神さん
第5章 1月2日…だからってXXは無理です
………それに身をもって知ったこと。
最初の痛みや恥ずかしさはあるにしても、確かにあれは時々正気さえ失いそうになる。
彼はあらためて目の前のホーリーに見入った。
(この人はそんな私の身も心も解放してくれた…のよね)
「………そして数年前に開発されたのがこのバイブレーターだねえ」
考え事をしていたサラは彼の声にはっとした。
それはやはり棒であった。
根元にヒラヒラした可愛らしい飾りがついているが棒である。
棒の先が細かく振動していた。
「う、動いてますね……?」
それでもどうしてだろう、とサラは思う。
ホーリーが持ち手側のダイヤルらしきものをさらに回した。 ヴーーーンとますます大きな音を立てて先を震わせている棒を見ると何が何でも目を逸らしたくなってしまう。
サラは耳まで赤く染めてこの場から消え去りたい気持ちをこらえていた。
「知性……そう。 知に性という文字が使われるのはなぜだろう? それらは真逆にあるようで同義といっていい。 ここまで言ったら分かってくれるねえ?」
逆にホーリーはそれ(棒)を思慮深い表情で見つめ、彼のその様子はまるで太古からの営みの歴史に思いを馳せている………と見えなくもない。
サラはそんな彼から目を逸らした。
「な、何を…ですか」
………この方向で目を上げたらホーリーの胸やら広く空いた肩などが見えてしまう。
なぜ今のタイミングで急に気になるのかサラは自分でも意味が分からなかった。
ホーリーと目を合わせない彼女を不思議に思ったのか。
「サラちゃん?」
彼の指がサラの顎にかかり、くいと上に向かせた。
「…っっ…!??」
強ばったままグラグラとサラの体が揺れる。
