
マッチ売りの少女と死神さん
第5章 1月2日…だからってXXは無理です
「ふふ…この頃は手淫行為が盛んでねえ。 滑りを良くするための乳香、供物としては犬の睾丸などが強壮剤として用いられたね。 あとは玩具など」
「単語がとっても難しいです。 乳香とはなんでしょう?」
「香木に近いねえ。 樹液は古代エジプトより防腐剤としても優れ、黄金と同じ価値があったそうだ」
「木が黄金と…!? では、その手前のふわふわの物は何ですか?」
ホーリーの話に興味津々になったサラは目をまん丸にして彼の顔を見つめ、続きを催促する。
白く分厚い布のようだ。
それはサラが今までお店でしかみたことがない、たっぷりの綿花を思わせる。
「一気にモンゴルが中国に遷都したあたりだね。 あれは新婚初夜の寝所などで使われた羊の毛だけど、親族は彼らにわざと子羊の小さな敷物を贈るらしい。 この意味はなぜだか分かるよねえ……?」
一瞬だけニヤアと笑った彼にサラはふるふると首を横に振る。
「馬乳酒は破瓜の痛みを和らげる外用にも」
白い液体が入った瓶を床に置いたホーリーが、続けて薄手の着物らしき物を手に取りそれを広げてみせた。
「東西の最大の融合と呼ばれるだけあってほら。 新妻の夜着などは実にエキゾチックだねえ。 あとは玩具など」
サラにはペラペラヒラヒラスケスケの布にしか見えないが、彼はなぜかそれをスっ…とサラに手渡した。
「えっ…そ、そうなんですね。 では、ホーリーさんの左側のものは何ですか?」
彼女はとりあえず話を先に進めようとした。
「これはねえ。 東の島国の祭で使われた榊という植物。 これで相手が経験した数だけ女性のお尻を叩き、そのあと夜を通して乱交に耽るって楽しい風習だよねえ。 で、これはその際の玩具など」
「………さっきから必ず付け加えてる玩具などって、なんですか」
主に棒状のものが多いらしい。
………その大きさや形状。
