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ジェンダー・ギャップ革命

第6章 異性愛者差別








 英真は身繕いした源口に、金一封と汚れたシーツの弁償費用を握らせた。

 彼女を玄関まで見送って、甚だ羽目を外したお茶会の残痕の散らばる部屋に戻ると、女達が英真に話しかけてきた。


「こんなにスカッとしたのは、久し振りです。英真様は、さっきみたいに異性愛者を断罪されるべきです」

「えー、何それ」

「実は私達、英真様のお友達に良い感情を持っていません。お慕いする英真様のお友達にこんなことを申し上げては失礼ですが、百目鬼さんは、英真様がどんなに切実な友情で接してこられたか、分かっていらっしゃいません。男一人投獄されたくらいで、いつまでも英真様に根に持つなんて、やはり異性愛者は人格の面でも欠陥があるかと」

「源口さんも同じ異性愛者だと思えば、もっと見苦しい姿にしてやれば良かったんです。おまけに、がめつかったです。金一封を、本当に持ち帰るなんて……。もちろん英真様にしてみれば大した額ではありませんけれど、一般人には図々しい金額でしょう?」

「英真様、昨年からずっとお元気がありませんね。百目鬼さんのせいでしょう?異性愛者なんて自分本位で、一度こうと思い込んだら意見を曲げない頑固者ばかりです。彼女達は迫害されて当然です。男ほどではないにしても、対等に見る価値もないかと」



 彼女らの意見に、英真は反論出来なかった。

 平日は仕事に費やして、休みは今日の顔触れで集まったりして、英真は常にスケジュールを埋めている。生来、派手な道楽を好んでいたのもあるが、玲亜とすれ違ってから、まるで何かに追い立てられるようにして、英真は余暇を避けている。彼女のために悩んで悲しみたくないという自己防衛本能が、英真を多用に追いやっていたのだと思う。

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