
ジェンダー・ギャップ革命
第6章 異性愛者差別
いつまで功利を考えないで、未来に夢を描いていたか。怖いもの知らずだった少女時分、どんな大人になりたかったか。
九十分という制限付きのゲームを舌で楽しみながら、愛津はえれんとそんな話をしていた。
時間内に巨大パフェを平らげなくても、景品が付かなくなるだけだ。シャーベットなどの溶けやすい具材を除いたあとは、ホットドリンクを追加して、愛津達はまったりと金魚鉢を賞味していた。あとに入ってきた客達の方が、先に完食してしまいそうだ。
「私は、子供の頃の夢の通りになりました」
「意外だわ。愛津ちゃん、こういう活動は興味なかったって……」
「あ、プライベートの方面で、です」
同世代の少女達が花屋や獣医や社長に憧れていたような時期、愛津は特定の職業に関心を持たなかった。何年経っても変わらず付き合える友人達に恵まれて、週末は飲み会、休みになればショッピングや自分磨きや習い事に興じて、長期連休は温泉だアウトドアだと駆け回るほど賑やかな人生に憧れていたし、漠然と、それは現実になるという確信もあった。
