
ジェンダー・ギャップ革命
第6章 異性愛者差別
見た目至上主義のアフタヌーンティーで腹を満たして、次から次へと目新しいお茶を賞味しながら、ありあは自己開示も怠らなかった。そしてありあが話すほど、英治も彼のことを聞かせてくる。
「人工出産は、まだ試用段階かな?実は一般化が楽しみなんだ。色んな事情で、産みたい男性はいると思う。例えばありあちゃんみたいなパートナーのいる場合だって、俺だったら、ありあちゃんに産ませるのは躊躇うもの。性差だけで、やりがいのある仕事を一年以上も離れなくちゃならないのは、酷だ」
「英治さんも重役じゃなかったっけ?」
「もちろん俺が産むのも困る。だから、じゃんけん。どっちが産むか、その時まで分からないパートナーって、良くない?」
ありあは、胸が軽くなるのを感じた。
えれんの目指すところに共感している男も、いるのかも知れない。
SMクラブに勤めていた頃、ありあを指名してくる客達は、多様な欲求を満たしたがった。赤ん坊になって叱られたい、ペットか或いは物同然に扱ってくれ、女王に苦痛を強いられたい。…………
彼らの中には、昼間の男としての生活に疲弊していた者もいただろう。
逞しくありたい女もいれば、一歩下がっていたい男もいる。
